風俗 経営

ヘッドハンティング

この業界で長く仕事をしているとたまに独立の話を持ちかけてくる輩がいる。
「一緒に組んで店をやりませんか?」

 

確かに風俗店をやっていくうえで、“広告”は重要な位置づけだ。
営業用もあるし求人用もある。

 

広告を出して、人々に認知されなければ、客は来ないし、働く嬢も集まらない。
ここがうまくいかないと売り上げなど上がらない。
だから雇われ店長と商談をしているとそんな話になる。

 

「風俗店をやってみたいと思いませんか?」
いつも態度はあいまいにしているが、答えは“ノー”だ。
店の経営には全く興味がない。

 

風俗店の経営は大変だと思う。
まず、スタッフが飛ぶ。
風俗の仕事は、どうにもならなくなったときにやる“人生の逃げ場”的に思われがちだが、そんな生半可な気持ちではやっていけない。
はたから見ていてもそれはわかる。
風俗をナメてはいけないのだ。

 

だがナメて飛び込んでくる若者が少なくない。
また人生に迷っている最中の中年も、灯に群がる蛾のように吸い寄せられる。
誰でもできる簡単な仕事だと思っているのと、想像以上の大変さに耐えられなくなってしまう。
そして、飛ぶ。

 

なかなかスタッフが定着しないこともあってこの業界は慢性的に人材不足だ。
そういう理由から、選べる状態ではなく来る者はすべて受け入れざるを得ない。

 

スタッフの質に困っている店はたくさんある。
俺も入ったばかりの新人君にぞんざいに扱われたことも数えればキリがない。
そしてそんな新人に限って、翌月店に行くといない。
飛んでしまうのだ。

 

だから風俗店の経営者はスタッフの育成にも手を抜けない。
万が一、怠慢な仕事ぶりを怒って注意でもしたら、へそをまげられるかも知れない。
今飛ばれたら経営がたちゆかなくなる店もあるのだ。
最悪の場合は見て見ぬふりになってしまう。
するとますますスタッフの仕事の質が落ちてしまう・・・

 

『負のスパイラル』というやつだろう。

 

そして日々の業務もある。
だからせめて広告は専門家に任せて・・・というのだろう。

 

でもそんな店ばかりではない。
男性に向けて求人広告を出す店もある。
『やりがい』をアピールする。

 

ナメた奴はいらない。
しっかり面接して、採用してからもしっかり教育させていく。
先行投資だがあとでちゃんと返ってくる。

 

そんなスタッフは、社会人としての常識があるので話せばすぐにわかる。
業界内では珍しいできる男だ。
だからすぐに出世する。

 

そして野望を抱く。
“独立したい!“
そして俺みたいな広告マンに声をかけるのだ。
「一緒に組んで店をやりませんか?」